永寿院は、京都の鞍馬口にある小さなお寺です。一年予備校に通い、入学した大学のために決めた下宿は永寿院の近くにありました。したがって何度となくその前は通っていたのですが、その名を知ったのは随分後のことであったと記憶しています。京都には寺社仏閣が非常に多く、最初のうちはものめずらしくて眺めるのですが、その数があまりに多く、しばらくすると景色に溶け込んでしまって思い出すのは、山門とかではなく塀だったりするのです。通っていた大学は私立の大学で、いわゆるおぼっちゃんの多い大学であったため、馴染めなかった私は入学当初その下宿にこもっていたものでした。京都の夏は想像以上に暑く、クーラーなど部屋になかったため、永春院の境内に涼を求めて出入りしたであろうことは容易に想像がつきますが、その記憶はまったくありません。覚えているのはその茶色の塀だけなのです。今となってはもっと京都を楽しんでおけば良かったと思います。
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